先日、https://maya-blog.net/210306/ こちらの記事でミャンマーと軍政についてをざっくり解説しましたが、今日は同国でのロヒンギャ問題について個人的見解をざっくり解説していきたいと思います。
ロヒンギャ問題とは?
ロヒンギャ問題をざっくり一言で言うと、ミャンマーのラカイン州に住むロヒンギャ族がミャンマー軍やミャンマー国民から迫害を受けている問題です。
ロヒンギャは国籍もなく、差別されています。医療を受けられることもなく、激しい差別と迫害を受けており、国際社会からも問題視されています。
では、なぜこのロヒンギャ問題が起きてしまったのでしょうか。
これには実は日本も深く関係していますので、後ほど解説していきます。
ロヒンギャの歴史
むかし、ベンガル地方(現在のバングラディッシュ付近)にはベンガル人が多く暮らしていました。
ここに世界各国へ出向き統治を進めていたイギリスがやってきて、ベンガル地方を支配してしまいます。(イギリスってこういう時絶対出てきますよね。
ベンガル地方は人種が様々で見た目や言葉が違う民族が多く住んでいたこともあり、イギリスはこの地域を統治しやすいように、一部のベンガル人を現在のミャンマー国ラカイン州に移住させました。
これがロヒンギャの起源とも言われていますね。
ベンガル地方をめぐる日英の争いが勃発
そんな時、アジアでの支配を進める日本が侵攻していきたことで、同地域の利権を巡って日本とイギリスは激しく対立します。
ベンガル地方はイスラム教徒と仏教徒がそれぞれいたことから、現地では一種の宗教戦争のようにもなり、争いは激しくなってしまいました。
その後、戦争が終わり日本とイギリスは特に後処理をすることもなく、(日本の場合はできなかったともいえるが)ベンガル地方から撤退しました。
ロヒンギャはいつから自分たちがラカイン州に移り住んでいるのかもわからなくなり、そのうち(この地域は自分たちが昔から住んでいる場所だ)と思うようになりました。
そして第二次世界大戦後から自分たちのことをロヒンギャと呼ぶようになり、ラカイン州での生活を継続させていきました。
ミャンマーとバングラディッシュの建国とロヒンギャへの迫害開始
そして戦後にミャンマーとバングラディッシュが建国されます。
そしてラカイン州のあるミャンマーでは1962年に軍事政権が誕生します。
軍事政権は、(なんでミャンマーに違う国の民族が住んでいるんだ)と思い、激しい嫌悪感を抱きます。
当時の軍事政権は、ビルマ民族中心主義に基づく中央集権的な社会主義体制を成立させたいという思いがあり、排他的なナショナリズムが生まれました。
さらにもともとミャンマーでは仏教徒が9割いること、ロヒンギャはイスラム教徒かつ人種も違うこと、先の日英との争いで起きた遺恨も相まって軍事政権はロヒンギャの迫害を開始します。
そして1982年の国籍法改正により、ロヒンギャはミャンマーの民族でないことが法的に認められてしまいます。
こうして国籍すらなくなってしまったことでますます忌み嫌われ差別を受けるようになってしまいました。
それを見ていたミャンマー人もロヒンギャのことを悪く思うようになり、迫害に加担する人も増えていきました。
一方、旧ベンガル地方にはバングラディッシュという国が建国されていました。
ロヒンギャと呼ばれるベンガル人が移住してから既に長い期間がたっており、バングラディッシュにも人口が増え、(ロヒンギャなんてしらねーよ)と言わんばかりに知らんぷりをします。
こうしてロヒンギャはどこにも行けずに迫害を受ける日々が続いていきました。(バングラディッシュへの難民も増えてはいますが)
スー・チー氏の対応
そんな中、ミャンマーでは非暴力を掲げ自由と平等を愛するスー・チー氏が実権を握りました。
ロヒンギャも(ようやく自分たちへの迫害も終わる)と思ったかもしれません。
が、実情はかわることなく民族浄化とも言われる迫害は現在も続いています。
スー・チー氏がロヒンギャ問題に対して消極的な理由は諸説ありますが、まずロヒンギャを虐殺している疑いのある軍や警察を指揮する権限をもっていないことも1つあげられます。
日本では、軍や警察の指揮権は内閣総理大臣がもっていますが、ミャンマーでは軍事政権が長かったこともあり、いまだに文民統制がされておらず、軍や警察の指揮権は軍隊にあります。完全民主化されていないということですね。
あとは国民世論の問題です。ロヒンギャは異教徒であり、国民から忌み嫌われている存在のため、ロヒンギャを支持することは自身の人気にも影響します。
さらに2021年2月1日に同国では軍のクーデターが起きたことで再び軍が実権を握っています。ロヒンギャの迫害はますます激しくなってしまいそうですね…。
そもそもなぜ差別がうまれるのか
これは結論、差別とは恐怖心から生み出されるものだからです。
ミャンマー人の中にも異教徒のロヒンギャが増えることで今度は自分たちが迫害されてしまうのではと恐怖が存在し、その恐怖をなくすために迫害を続けてしまうのではと思います。
人はなにかを失いそうになる恐怖に対しては差別という行動をする傾向があると思います。
これは日本でも起こっており、例えば2011年の東日本大震災のときには福島原発事故の影響で一部の福島県民の移住に対して差別行為もありました。
最近ではコロナですね。コロナに感染した人間・家族に対しての差別もあります。
全ての人が相手を信じ、愛することが重要なのですが、そうそう完璧な状態になることはなかなかむずかしいのも現状です。
国際的になんとか仕組み化できればいいのですが…。
日本でも鎖国制度が長年続いたこともあり、同一民族による生活が主となっていることから外国籍の人をガイジンと呼んでしまう現象もあります。
自分たちに今できることは誰に対しても差別をせず、相手を信じ愛をもって接することだと思います。自戒の意味も込めて。
まとめ
■ロヒンギャ問題とは
・ミャンマー国ラカイン州に住むロヒンギャが迫害を受けている問題
・もともとはイギリスの侵攻が原因だが、後処理に関しては日本も悪い
・現在も迫害が続いており、国際社会からも問題視されている
民族浄化や宗教戦争って何千年たってもなくならない根本的な問題ですね。
そもそも宗教じたいがなくなれば解決するやんけとは思いますが、何かにすがりたい気持ちや信じたい気持ちもわかりますし、現実的ではありません。
ロヒンギャ問題を調べたことで、あらためて差別の原因などを個人的に理解することができました。
ロヒンギャ問題に対して直接的になにかできることは少ないかもしれませんが、先述したとおり、自分たちに今できることは誰に対しても差別をせず、相手を信じ愛をもって接することだと思います。自戒の意味も込めて。