プロ野球の2021年シーズンが開幕して15試合が経過。
各球団との対戦が一巡したことで、今シーズンの阪神タイガースの強みなどを少し解説したいと思います。
好調なスタートダッシュの要因
15試合を終えてタイガースの対戦成績は11勝4敗と上々のスタート。
要因は大きく2つで、先発陣の充実と走塁意識の向上だろう。
先発陣の充実
先発陣の充実度は言わずもがな。
ほとんどの先発がHQS(7回2失点以下)、QS(6回3失点以下)と試合を序盤で壊すことがなく、試合の流れを維持できている。
現状先発陣は、藤浪・青柳・ガンケル・西・伊藤・秋山の6人で回しているが、うち4人が規定投球回達成経験者で3人が先発で二桁勝った経験もあるので強力。
左腕髙橋遥人の出遅れも心配されたが、それを感じさせない充実ぶりはルーキー伊藤投手の活躍が大きい。
もちろん藤浪投手やガンケル投手も私の想像以上に頑張ってくれているが、ルーキーの伊藤投手が立派な戦力になっている点が心強い。
特に甲子園でのジャイアンツ戦での内容は見事。丸選手などの主力不在の打線ではあったが、昨季覇者のジャイアンツ相手に堂々たるピッチングでプロ初勝利。
投げている球を見ても非常にキレがあり、疲れが出る夏場までは問題なく活躍してくれそう。
しかも先発陣に関しては、疲れが出始めた選手は無理せずに下で休ませることもできるのも強み。
髙橋遥人投手の復帰や日米で実績のあるチェン投手、昨季韓国Lの最多勝投手アルカンタラ投手も控えており、先発陣はシーズン通して盤石の体制で望めそう。
不安点はリリーフか。7回岩貞投手、8回岩崎投手、9回スアレス投手が現在の勝ちパターンだが、8回を任せている岩崎投手はシーズンをフルで投げさせるには少し心配。
ここにもう1枚信頼できるピッチャーがほしいところ。
走塁意識の向上
これは矢野監督の指導の賜物。
就任当初から走塁意識の向上を掲げ、”当たり前のことを当たり前にできるように”と常々言及している。
積極的なミスに関しては、全く咎めないが、消極的なミスやボーンヘッドに対してはすこぶる厳しいのもポイント。
ファーストまで全力で走る、常に1つ先の塁を目指すと当たり前のことを言っているが、野球はシンプルイズベスト。この指導が今の阪神の強さの原動力になっている。
今日の試合でも糸原選手が戸柱捕手が捕球しそこねた瞬間を見逃さずにすかさず進塁。
当たり前のことだが常に意識していないとできないし、逆にこれをおろそかにすると1点が遠のくのはもちろん、走塁ミスとなり試合の流れを大きく相手に渡すことになってしまう。
野球で大事なことは、ミスで相手に流れを渡さないこと。記録に残らないミスだが、試合の流れに影響するミスはたくさんあり、それをどう防いでいけるか。
少なくともの矢野阪神の走塁意識は高い。当たり前のことを当たり前にこなせている。この点は非常に評価できるし、ぜひこのまま継続してもらいたい。
打線について
打線に関しては、各選手の調子の善し悪しがうまいこと分散されており、特に心配はしていない。
むしろ4番に座る大山選手の前後を外国人助っ人が固めることでマークが分散されており、6番に一発のある佐藤選手が入ったことで打線の破壊力は間違いなく上がっている。
問題は1番の近本選手の当たりが止まっていること。今後上がってくるとは思うが、今の状態はよくないのでブレーキになってしまっている。
佐藤選手はいかにボール球を我慢できるかがポイント。
そんな中で今日の2打席目は非常に内容のある打席だった。それまで手を出してしまっていたインハイのボール球に手を出さず、ストライクだけを振っていき結果も2塁打。
ホームランバッターに甘いボールはなかなかこないので、ボール球をいかに我慢できるかで打率も大きく違ってくる。
現状はボール球に手を出してしまうことが多く、投手有利のカウントで勝負されがちなのでこのままでは打率は上がってこない。試合に出ながらなんとか感覚を掴んでほしいところ。
野手の控えも充実しているの点も大きい。
糸井選手や陽川選手などスタメンにいても遜色ない、一振りで試合を決められるタイプが左右の代打の切り札として待機していることは非常に戦力の底上げを意味している。
各ポジションでレギュラー争いが激しいこともチーム全体の底上げにつながっている。
あかん、優勝してまう
”あかん、優勝してまう”と思いたい気持ちはすごくよくわかるが、首位だなんだと浮かれるのはまだまだ先の話。
阪神タイガースという球団は期待すると裏切られるので、自分の気持にも保険はもっておかないと精神が崩壊する可能性があるので注意してほしい。
1つ気がかりなのが梅野選手の起用について。坂本選手という他球団にいれば正捕手レベルの捕手が控えにいるので、週に1日は休ませてもいいのではというのが個人的な意見。
もちろん扇の要として常に試合に出てくれている点は心強いが、優勝するチームは控え捕手まで盤石なのもポイント。坂本選手も少ないチャンスでなんとかアピールしてほしい。
そして優勝するには、苦手球団と苦手選手をつくらないことがポイント。
広島の森下投手には昨年からやられっぱなしであり、明後日も対戦予定だ。この森下投手をしっかり攻略できるチームにならないと優勝は現実味をおびてこない。明後日はなんとしても打ち崩し、西投手を勝たせてもらいたい。
あとはしょーもないエラーを減らすこと。
今日の試合はプロらしい守備も見せてもらえたし、しょーもないエラーがなかったことで流れを無駄に渡さなかったことは素晴らしい。ぜひ継続してもらいたい。
まだまだシーズンはこれからだが、良い点はどんどん伸ばして今年こそ期待させてほしい。